IT業界の皆様、ビジネスマンの皆様、本日もお仕事お疲れ様です。
新聞やニュースを読んでいるとIOWN構想という言葉が出てきますよね。5Gでの通信環境が普及してきましたが、さらにその先を見据えた次世代通信基盤と言われるIOWNは何を意味しており、何がすごいのでしょうか。
システム開発ではまだまだ話題に出ることが少ないですが、事業構想やビジネス構想では将来を見据えてIOWN構想が使われてくるタイミングだと思います。本記事をきっかけに要点を押さえてみてください。
次世代インフラとしてのIOWNとは?
IOWN(Innovative Optical and Wireless Network)構想は、NTTが提唱する次世代の通信インフラの概念です。
現在の5G通信は4Gに比べて格段に速く、より多くのデバイスを同時に接続できるというメリットを持っています。しかし、データ量の急増や処理速度のさらなる向上が求められる中、NTTは「Beyond 5G」としてIOWN構想を掲げ、2030年を目標に、5Gを凌駕する超高速通信インフラの実現を目指しています。
IOWNの革新性は、光技術と無線技術を組み合わせることで、今までのインターネット通信を劇的に進化させる点にあります。この技術により、より効率的で低遅延なデータ通信が可能になり、通信に依存する現代社会の根幹が大きく変わる可能性があります。
IOWN構想で実現する未来とは?
IOWN構想による最大の進化は通信速度と処理能力の飛躍的向上です。特に、リアルタイムでのデータ処理がこれまでよりも大幅に高速化されることで、さまざまな新しいサービスが生まれると期待されています。
- 遠隔地でのリアルタイムでの医療操作
- 完全な自動運転車
- 交通量などを可視化したスマートシティ
また、これまでの通信技術では限界だった「遅延」の問題もIOWN構想によって解消されます。
低遅延技術が導入されることでリアルタイムでの反応が求められる分野、例えばオンラインゲーム、工場の自動制御システムなどに革命をもたらすと考えられています。IOWNはこれらの分野での通信遅延をほぼゼロに近づけることで、よりスムーズな動作や違和感のない価値を提供します!
IOWNの核心技術で社会がどう変わるか?
IOWNは3つの核心技術「オールフォトニクス・ネットワーク」「デジタルツインコンピューティング」「コグニティブ・ファウンデーション」により支えられています!それぞれの特徴と社会にどのような影響を与えるのかを見ていきましょう。
オールフォトニクス・ネットワーク
オールフォトニクス・ネットワーク(APN)とは、端末間を光信号のまま接続する技術です。
通信ネットワークの全体を光技術で結ぶことで現代のインターネット通信の100倍以上の電力効率と125倍の伝送容量を目指しています。光を使った通信は、従来の電子技術に比べて圧倒的に速く、またエネルギー効率が高いため、カーボンニュートラルの達成にも寄与します。
デジタルツインコンピューティング
デジタルツインコンピューティングとは、現実世界のヒトやモノを仮想空間に再現する技術です。
これにより例えば自動車の渋滞を事前に予測したり、工場の生産ラインの最適化を図ったりすることが可能になります。また、リアルなシミュレーションが行えるため、これまで実現が難しかった未来予測を精度高く行うことができるようになります。
災害時のシミュレーションや交通状態の解消シミュレーションなど、現実では難しいことがデジタル場でテストできるのだとざっくり理解してみてください。
コグニティブ・ファウンデーション
コグニティブ・ファウンデーションとは、ICTリソースを全体で最適化し必要な情報を効率的に配信する技術です。
例えばネットワークに接続された多くのデバイスが膨大なデータをやり取りする中で、必要なデータだけを優先して流すことで通信の効率化が図れます。これにより、ネットワークの過負荷を防ぎ、よりスムーズな情報処理が可能になります。
まとめると、IOWNにより「電力効率向上」「高速通信」「通信大容量化」に繋がるんだと覚えておいてください!
未来の生活を支えるIOWN技術の実証実験
IOWN構想は大企業達が机上の空論で終わらせないように実証実験が進んでいます。私たちの生活が大きく変わるきっかけが目の前に迫っている感じがしますね!
2024年1月: NTTとNECの実証実験
- 遠隔地でリアルタイムの顔認証を実施
- IOWNと接続した光ファイバー網と振動装置を活用して一般道での交通量の可視化実験を実施
2024年10月: NTT comとミライセンスの実証実験
- 視覚・聴覚・触覚をリアルタイムで転送する技術を実証。
NTT comの生成AI実証実験
- IOWNを通信基盤として利用して分散データセンターでの生成AIの学習実験を実証し成功
特に生成AIの分野ではIOWNの技術が活躍すると考えられます!
生成AIでは膨大なデータのインプットアウトプットが必要とされますが、IOWNを利用した高速なデータ処理によりAI学習やデータ処理が劇的に向上しより高度なサービスが生まれるはずです。
IOWN構想のグローバル展開と未来予測
IOWN構想はすでにグローバルな視野で展開され始めています。
もともとはNTT、ソニー、インテルの3社で始めたIOWNグローバルフォーラムには、マイクロソフトなどのグローバルな企業から三菱電機や京セラなど日本を代表する主要企業が参加しており、次世代の通信インフラとしての可能性を探っています。
このIOWNグローバルフォーラムでは、ユースケースの検討や技術開発が進められており、世界中でIOWNの技術が活用される日が近づいています。
また、日本国内でもスマートシティの開発や生成AIの実証実験が進んでおり、IOWN技術がもたらす未来は確実に形になりつつあります。これからの10年で、IOWNは通信やエネルギー分野だけでなく、あらゆる産業に変革をもたらすでしょう。
まとめ
IOWN構想は、単なる通信インフラの進化ではなく、未来の社会を根本から変えるポテンシャルを持った技術です。
高速通信、大容量化、低遅延、電力効率向上といった技術的な進化はもちろんのこと、エネルギー効率の向上や持続可能な社会の実現にも寄与するため、今後ますます注目されます。もちろん、ビジネスシーンで登場してくることも増えるでしょう!
NTTが描く未来の世界は私たちの日常生活やビジネスのあり方を大きく変える可能性を秘めています。IOWNがもたらす革新は、私たちの未来にどのような影響を与えるのか今後の展開に期待が高まりますね。