皆さん、本日もお疲れ様です。
SIerで働くがんちゃんです!
江崎グリコ株式会社のSAP基幹システムで発生した大規模な障害が世間で注目を浴びています。この記事ではニュースやX(旧Twwiter)などの情報源をもとに江崎グリコのシステム障害について探ってみたいと思います!
江崎グリコのシステム障害の概要
時系列にて江崎グリコの障害をまとめてみました。
- 24年4月3日江崎グリコの基幹システム切り替えを行った際にシステム障害が発生
本障害により出荷や受発注業務に影響が発生
- 24年4月18日出荷再開と停止
・一部の出荷を再開したが受発注や出荷データに不整合が生じて19日に再度出荷を停止する
・「プッチンプリン」「カフェオーレー」など17ブランドが影響を受ける。さらに、業務提携していたキリンビバレッジの「トロピカーナ」や「無添加野菜」も出荷停止に
・5月中旬に出荷再開を目指すとする。市場では出荷停止による売上への影響や特別対応によるコスト増加が懸念されるようになる。
- 24年4月19日6月中を出荷再開の目処と発表
出荷再開の目処が5月中旬には立たず6月中の再開を目指すと発表。2024年の売り上げは想定から150億円減少して3360億円、最終的利益は40億円減って110億円になる見通しと修正しています。
- 24年6月11日チルド製品やキリンビバレッジ製品を6月下旬に出荷と発表
チルド製品である「アーモンド効果」「グリコ牛乳」などの製品、キリンビバレッジの「午後の紅茶」「無添加野菜」「トロピカーナ」などを6月25日以降出荷すると発表
- 24年7月16日プッチンプリン等再出荷
7月3日発表にてプッチンプリン等を出荷すると発表
- 24年8月6日カフェオーレ等再出荷
7月19日発表にてカフェオーレ等の出荷すると発表
- 24年9月10日100%果汁飲料やトロピカーナ等を再出荷
8月21日の発表にてチルド製品やキリンビバレッジ製品を出荷する発表
- 24年11月5日出荷停止していた全品の再開
9月30日の発表にてシステム障害に起因して出荷停止となっていた製品全ての出荷目処が立ったことを発表
▼参考
・2024年6月11日発表資料
https://www.glico.com/assets/files/NR20240611.pdf
・2024年7月3日発表資料
https://www.glico.com/assets/files/NR240703_1500.pdf
・2024年7月19日
https://www.glico.com/assets/files/NR20240719_01.pdf
・2024年8月21日
https://www.glico.com/assets/files/NR20240821__2.pdf
・2024年9月30日
https://www.glico.com/assets/files/NR20240930__2.pdf
江崎グリコ株価影響
障害発生後、一時期は株価も下がっておりましたが現在は障害前までの株価水準にまで戻ってきています。
主幹ベンダーとデロイト
江崎グリコの広報によれば複数のベンダーがプロジェクトに携わっていたようです。社名等は江崎グリコより公表されていませんが、ダイヤモンド編集部の取材により主幹ベンダーがデロイト トーマツ コンサルティングであるとされています。
▼参考
・DIAMOND ONLINE
https://diamond.jp/articles/-/342762
デロイトほど大きなコンサルファームでもこのような事態が発生してしまうのですね。。。
※デロイトの特徴や強みについては『BIG4コンサルとは?特徴と各社の違いを解説』にてまとめています。
江崎グリコの基幹システム刷新プロジェクトの背景
江崎グリコの基幹システム刷新プロジェクトは元々2019年12月から2022年12月に完了予定でした。しかし、大規模なシステム障害が発生した2024年4月時点でプロジェクトは1年以上の大幅遅延を抱えていた状態となります。
基幹システムの切り替え先としてはSAPのS/4 HANAを予定していたようで、物流・販売・会計データを一元管理して経営情報をスピーディーに把握することを目指していたのではないかと考えられます。
江崎グリコの有価証券報告書でも記載されていますが、投資規模も最終的には215億円から340億円と大幅に膨らんでおり、当初計画から大きく逸脱していることが伺えます。
今後の展望
IT業界に従事する者としても江崎グリコの商品ファンとしてもシステムの早急な復旧を願っています。システム障害の原因特定と改修に向けて、人海戦術での対応や外部企業の協力が必要かもしれません。
また、今後本件の賠償責任の話も取り上げられることになると思います。
ベンダー側もリスクを懸念して準委任契約と請負契約をフェーズごとで切り分けて締結していると考えられますが、業績に影響するほどの大規模な障害が発生してしまうと主幹ベンダーやその他ベンダーにも問われる責任は非常に大きいかもしれません。
現時点では賠償請求等の話はニュースになっていませんね。
江崎グリコのシステム障害から考えること
システム障害の原因はいまだに明らかにされていません。しかし、IT業界で従事する営業マンとしては常にリスクへの対応が必要だなと感じました。金額を問わずベンダーとして仕様凍結を確実に行うことや顧客をグリップすることなど、営業側でもトラブル回避のためにできることがたくさんあると考えます。
こちらの記事は仕様凍結についてシステム営業マンが気にすることなどを記載しています。ぜひこの機会に参考にしてみてください。